金沢大学21世紀COEプログラム『環日本海域の環境変動と長期・短期変動予測』

 事業推進担当者

水・土壌環境領域/微生物が果たす重要な役割

教 授  田 崎  和 江

自然科学研究科 環境科学専攻 
環境動態講座 
[ kazuet@kenroku.kanazawa-u.ac.jp ]


 水・土壌環境系において微生物は最も卓越し,多様な方法で広汎に分布します。微生物は地球上の無機物質と強く相互作用し,すべての元素,重金属や放射性元素でさえ運びます。微生物は凝集・沈殿・変質の過程において多くの化合物を細胞表面に作ります。細胞壁は鉱物の核形成の場となります。微生物からなるバイオマットの表面を流れる水は生体鉱物の生成を促進します。水・土壌中の微生物は顕微鏡サイズです。電子顕微鏡によってありのままの自然の姿を描きだすことができます。エネルギー分散スペクトルによって微小領域の化学組成を直ちに知ることができます。私たちは電子顕微鏡によって多くの生体試料を観察してきました。主にウイルス,細菌,藻類,カビ,珪藻,粘土などで,それらは生態系における総体として解明されるべきものです。"百聞は一見に如かず"です。

 私たちの研究課題は,生体鉱物化作用,ダム堆積物,岩石,バイオマット,結晶化作用,石油及び水質汚染の生体環境修復など多岐にわたります。微生物が重要な役割を演じることは,彼らが水・土壌中に存在し活動していることによって証明されます。これが私たちの研究活動の中心となるテーマです。

 幸運にも2002年,金沢大学COEプロジェクトのためにエネルギー分散X線分析装置付き電界放出型エネルギーフィルター透過電子顕微鏡(LEM-2010FEF)が導入されました。これにより電子線のエネルギー損失を用いて試料中の二次元的元素分布を調べ,最適なコントラストで像を観察することが可能となります。電子顕微鏡の技術は,微生物の挙動に関連した高分解能構造観察,微小領域化学分析,鉱物学的知見を多数与えます。これらの活動は生態系の真にダイナミックな側面の面白さを再認識させてくれました。


Hot springs exploration in Kamchatka, Russia






































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