金沢大学21世紀COEプログラム『環日本海域の環境変動と長期・短期変動予測』

 事業推進担当者

環日本海域における薬物資源の有効利用と保全

教 授  御 影  雅 幸

自然科学研究科 生命科学専攻
生理活性物質科学講座
[ mikage@mail.p.kanazawa-u.ac.jp ]


 環日本海域では伝統医学として広く中国医学が行なわれています。紀元前に中国大陸で興った中国医学は古い時代に周辺国に伝播し,それぞれの地域で独自の発達を遂げてきました。すなわち,現在中国における中医学,朝鮮半島における韓医学,そしてわが国における漢方などです。中国医学で利用される薬物すなわち生薬は多くは植物由来のものです。各地に分布する植物種が異なるため,地域的に多くの代用品が開発され,それぞれの地域で特色を持っています。長年に渡って開発されてきたこうした薬用資源は私たちの貴重な財産であり,後世に受け継がねばなりません。

 私たちは,これまでにアジアを中心に薬用資源の利用状況や資源状況を調査してきました.その結果,近年になって人的自然環境破壊が進み,薬用資源が急速に減少していることが明らかになりました。たとえば,重要生薬の「麻黄」の原植物マオウ属植物は他の植物が生えないような乾燥地に多く生えていますが,こうした場所が農地として開墾された結果,最近の10数年間で資源量が激減しました。さらに,マオウは黄土地帯にも広く分布し,生育地の開拓により黄土が露出し,昨今の黄砂増加の要因ともなっているようです。

 また,日本民間薬の大半は中国や朝鮮半島からの知識です。これらの国々における薬物資源の減少は,我々の健康に直接関わる問題でもあるのです。環日本海諸国で一致協力して薬物資源を調査し,有効利用と保全をはかる必要があるのは以上のような理由からなのです。

Ephedra intermedia in fruiting

Reclamation of Ephedra growing field




























 




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