金沢大学21世紀COEプログラム『環日本海域の環境変動と長期・短期変動予測』

 事業推進担当者

環境流体中の分散過程に関する研究


教 授  木 村  繁 男

自然計測応用研究センター
機能開発システム講座
[ skimura@t.kanazawa-u.ac.jp ]


 環境流体による移流拡散現象は,熱や各種の化学物質を広範囲に輸送するメカニズムとして良く知られています.そのため,ある特定の環境汚染物質の発生源を特定することが一般には極めて困難となっています.また,大都市におけるヒートアイランド現象に象徴されるように,われわれの日常生活環境に多大な影響を与えることが知られています.本COEプロジェクトにおいても,日本海を越えて大陸からやってくる種々の化学物質の長距離輸送が大きなテーマとなっています.本事業担当者の研究は主に環境流体による熱や物質などのスカラー量の移流拡散現象についての解明にあります.

 環境流体は大きく二つに分類されます.一つは気流に代表されるように空気の流れであり,もう一つは陸水や海洋などの水の流れです.本研究ではこれらの環境流体の内,(1)地下水の計測技術の開発とその応用,(2)熱対流および重力波などによる局地風と気圧傾度風との干渉による黄砂の降下メカニズムの解明,(3)樹木が気流に及ぼす乱流拡散作用とスカラー量の拡散予測の三つのテーマについて研究を実施します.

 地下水の流れは目に見えないことからその実態を把握することが極めて難しい現象の一つです.本研究では一本の調査井で地下水の流速と流向を同時計測する測器を開発します.原理は鉛直加熱円柱まわりの温度場が水平方向からの地下水流により歪められることを利用します.Fig.1とFig.2は水で飽和した多孔質体中に鉛直に置かれた加熱円柱周りの混合対流の様子を三次元の数値シミュレーションにより計算した例です.Fig.1は水平断面内の温度場を示し,Fig.2は流跡線を示しています.

Fig.1 Temperature field in a horizontal plane

Fig.2 Streak lines in mixed convection


































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