湖沼‐流域系情報に基づく地球環境変動の時系列解析
教 授 柏 谷 健 二 自然計測応用研究センター |
ユ−ラシア東部の中緯度地域にはバイカル湖や黄土高原という最古の高解像度陸域情報を含む試料が存在しており,地球環境変動を理解するためには絶好のフィ−イルドです。とりわけ環日本海域は東アジアモンス−ンの影響を受け,大陸からの情報や海洋情報の交差する地域であり,自然環境の変動に極めて敏感です。
人間活動の自然への働きかけは農業の成立まで遡れますが,環境への影響が認識され始めた時点は産業革命期以降であり,顕著な影響が議論されるようになったのは,20世紀になってからです。産業革命期は欧米では小氷期とほぼ対応し,日本ではその終末期と重なります。即ち,過去数百年に人類は自然の大きな変動と人間活動が関わる変動を経験してきています。従って,この時期の変動そしてその長期的背景を明らかにすることは今後の地球環境問題を考える場合の基本でもあります。
湖沼は環境のモニタリングサイトとして重要な位置を占めていますが,その堆積物には解像度の高い環境の時系列情報が刻まれており,陸域の多様な生命環境や人間活動の情報も残されています。本研究では自然環境の変動に極めて敏感な環日本海域に位置する湖沼−流域系試料に含まれる環境情報や水文環境のモニタリングから得られる情報の解析から,人間活動の影響を評価できる過去数百年を含むユーラシア東部の陸域環境変動を明らかにすることを基本的な目的とします。
Human activity (dam construction) Glacial-interglacial cycles printed printed in Lake Yogo sediments. in Lake Baikal sediments. |