金沢大学21世紀COEプログラム『環日本海域の環境変動と長期・短期変動予測』

 参与

高精度・高感度な環境センサー・測定器の開発

教 授  指 宿  堯 嗣

(社団法人 産業環境管理協会・常務理事)


 最近、有害化学物質汚染および地球温暖化が環境問題として注目されています。日本海は、日本、中国、ロシアなどに囲まれており、各国から排出される有害化学物質の蓄積による汚染が懸念されるとともに、この地域が排出する大量の温室効果気体、SOx、NOxによる地球温暖化、環境酸性化への寄与の増大が心配されています。

 有害化学物質については、それらの発生源、環境における濃度を正確に測定する必要がありますが、時間とコストがかかる測定法が多く、簡便で高感度・高精度な測定方法開発が進められてきました。我々のグループでは、水晶振動子(QCM)をダイオキシン抗体で修飾し、ダイオキシンがQCMに捕捉されることで生じるわずかな重量変化を測定することで、ng/m3オーダーの測定感度をもつセンサーを開発しました。ディーゼル自動車などから排出される多環芳香族炭化水素(PAHs)や内分泌攪乱物質などに特有の抗体を選択することで、これらを測定できるセンサーを開発します。また、PAHsの水酸化物などを微量測定できる方法も開発していきます。

 地球温暖化に関与するCO2、メタン、N2O等の温室効果ガス、酸性雨の原因物質であるSO2等の各国の発生源における排出量の把握は、各国における温暖化や酸性雨対策の基本になるものです。これまでの測定機器は比較的高価で、多くの発生源に設置することが困難でした。我々は、これらのガスが近赤外領域に吸収があり、最近、量産されるようになった半導体レーザーを使うことで、これらのガスを精度良く測定できる簡便で使いやすい測定器を開発していきます。開発するセンサー、測定器は日本海、日本、中国などの地域における環境中の有害化学物質や温室効果ガス測定に使用され、環境状況の把握ができます。












































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