放射能分野で活躍をしている小村和久教授北朝鮮核実験由来の漏洩放射能調査を行いました。


北朝鮮核実験由来の漏洩放射能調査
放射能分野
小村和久


 10月9日の北朝鮮の地下核実験に際し、輪島沖50kmに位置する舳倉島、海抜640mの獅子吼高原と辰口の3地点で大気浮遊塵の採取と核実験由来の放射性核種の測定を試みた。地表大気中に漏えいする放射性核種で最も可能性が高い放射性核種は半減期5.3日の希ガスXe-133と推定したが、COEプログラムで使用のハイボリュームサンプラーでは捕集できないので、次に可能性の高い半減期8.06日のI-131の検出を目標にサンプリング計画を立てた。実験場から約1000kmの距離があるので、放射性物質が石川県上空に達するのに最短で約1日半以上かかると見込んだ。辰口と獅子吼高原では10日から1日(空気1300 m3相当)毎のサンプリング、11日に舳倉島に出向き、1週間サンプリング(8000 m3相当)により捕集した大気浮遊塵を尾小屋地下測定室で検出測定した。しかし、核実験由来の短寿命人工放射性核種はどの試料も検出限界以下であった。国は自衛隊機を使って大気浮遊塵を採取(測定;日本分析センター)、国際原子力機関(IAEA)傘下にある高崎と沖縄のモニタリング施設でも大気浮遊塵試料を採取し測定したが同様の結果であったと聞く。
 これら測定はわれわれより1桁多量の試料をもちいている。検出感度が1?2桁高い尾小屋地下測定室で測定しても同様の結果であった可能性は高いが、これらの試料が測定できる道を拓くよう努力したいと考えている。